検査の結果が出て、
飼い猫のミウがガンだということがわかりました。
足の付け根に瘤のようなものができていて、
痣みたいになってるので、
医者もY君も外で怪我して来てそれが治りにくいのかもとか、
なるだけ大病なように考えないようにしていたけれど、
私はなんとなく、そうなんじゃないかと思ってた。
それは勘なのかな。
母を同じ病気で亡くしたから、
ガンがどういう病気か解ってる。
手術や放射線治療や薬でも、
転移の可能性は高いし、
体力はどんどん落ちていく。
逆に強い治療をすることで
本人が持っている生命力みたいなもの、
どんどんなくなっていってしまうような気がした。
これから大きなクリニックに移って、
精密検査はしてみようと思ってる。
だけど、数週間命を延ばすために
ミウが苦しい思いをするんだったら、
幸せに過ごせる時間をなるだけ作ろうと思った。
日本への帰国迷ったけれど、
取りやめにした。
猫のためにって、思う人はいるかもしれないし、
あるいはもっとしてあげられるのにって
思う人もいるのかもしれない。
わたしにはよくわからない。
私はきっと制作も続けていくし、
仕事もしなければならないし、
友人にも会うだろう。
普通の生活を続けていく。
そしてミウにいっぱい愛情を注いで、
気もやってみる。
だけどそれ以上に私たちに何ができるんだろう?
生と死。
それは私たちの希望とか欲望とかそういうものを超えた次元のことで、
だけど誰にでもやってくることなんだ。
ミウを飼い始めたのは私がパリに来てまだ一年も経たない頃だった。
それからずっと一緒だった。
赤ちゃんだったミウが大きくなって大人になってそして年を取った。
私たちよりも早く時間が過ぎる。
知っていたけれど、もっともっとそれは先のことだと思ってた。
健康に気をつけて贅沢なものを食べさせたこともなかった。
だけど、こんなに早く病気になってしまうのだったら、
好きにさせてあげれば良かったとか、
後悔し出したらきりがない。
心の準備はしなければいけないけど、
ミウはまだ元気いっぱい。
今日も一緒に遊んだ。
床に寝転がったらミウが私の上に乗って来た。
瞳はきらきらと光ってた。
大好きだよ。
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